JMTS Toshin Japanese Language & Training School
2025-05-24

ミャンマー人材との面接で見るべきポイントとは?|面接の質問設計と準備について

「ミャンマー人を採用したいけれど、どんな人なのかわからない」
「面接で何を聞けばいいのか分からない」
――そんな声を多くの企業様からいただきます。

JMTSでは、受け入れ企業の皆様にとって納得のいく採用ができるよう、本人の特徴を引き出せるような質問設計のアドバイスもさせて頂いています。

本記事では、企業様が「どんな人材を採用したいか」を考えるための視点と、それに合わせた効果的な質問例をご紹介します。

面接前に確認すべきこと:どんな人材を求めていますか?

面接を有意義なものにするためには、まず企業様の“求める人物像”を明確にすることが重要と考えます。自社(特に現場)がどんな人材を求めているのか?を面接前に明確にすることが大事です。

日本語能力を重視したい場合

面接は基本的に通訳に頼らず日本語のみで実施し、あいさつ・自己紹介・質疑応答などから日本語の到達度を確認します。ミャンマー人の場合、暗記能力も高く試験に向けた勉強に時間を使う傾向があるためJLPT日本語評価試験の合格率はとても高いです。そのため、2025年5月現在、面接時にN3やN2レベルに到達していることもあります。しかし、人によってはN2を取得しているが「日本語会話」に応用できない人もいます。

面接時には、JLPT日本語能力試験のレベルの有無よりも、質疑応答の日本語レベルを重視した方が自社の採用方針に適うことが多いです。

考え方や性格を重視したい場合

日本語での表現が不十分な生徒には、通訳を交えて面接を行い、価値観や人柄について質問を行います。価値観や考え方を日本語で表現することはハードルが高いため、ミャンマー語(母国語)にて本音を聞き出せるような面接が重要になります。

作業能力・体力が重要な職場の場合(工場、農業、清掃など)

日本語力よりも、作業への集中力や、黙々と業務を遂行できる人の採用を進めたいという場合、日本語での面接よりも、過去の実績や学校内での出席率、授業態度など学校の先生からのコメントや体力テストなどを実施することで、本人の特性を知ることもできます。過去の仕事での勤務態度や体力、集中力、指示通りに業務を遂行できる素直さや精神力を確認することが大切です。

面接で効果的な質問内容(目的別)

人柄・性格を知る質問

  • 「あなたの家族について教えてください」
  • 「友達からどんな人だと言われますか?」
  • 「最近たいへんだったことと、それをどう乗り越えましたか?」

本人の自己認識や協調性、努力の姿勢を知ることができます。特に、大変だったことをどう乗り越えたのか?という質問は、今後会社で問題に直面した時に、その候補者がどのように問題に向き合うのか、を垣間見るための質問になります。

働く目的・意欲を知る質問

  • 「なぜ日本で働きたいのですか?」「きっかけは?」
  • 「将来どんなことをしたいと思っていますか?」
  • 「仕事をするうえで大切にしたいことは何ですか?」
  • 「過去の仕事で大切にしてきた事は何ですか?」「どうしてそう思いますか?」

長期的なビジョンや、日本で働くことへの意欲を確認できます。現在のミャンマー人若者は「ミャンマー国から逃げたい」という考えを持ち、長期的な視点を持っていない人も多いです。そのため、長期的な考えを持っているのか、ただミャンマー国から逃げたいという思いだけなのか、を判断するために重要な質問です。しっかりと日本就職を考えている学生は、働く目的や大切にしたいこと、過去に働いた会社からの学び、について考えています。日本語での表現が難しい場合は、ミャンマー語通訳を介して質問すると本音を聞くことができます。

現場対応力・考える力を知る質問

  • 「職場で困ったことがあったら、どうしますか?」
  • 「上司に叱られたとき、どう感じてどう行動しますか?」
  • 「チームでうまくいかない時、あなたはどうしますか?」

柔軟性や報連相の意識を持ち合わせているかどうか、を見ることができます。現在のミャンマーの場合、高校卒業後に日本語学校に入学する人も増えているため、社会経験を持っていない若者もいます。その場合は、自分が働いている姿をイメージをしたり、高校・中学時代などに遡って同様の経験を聞くことで、どの程度の対応力のレベルや考えを持って行動しているのか、を知ることができます。

現在のミャンマー人若者の傾向とは?

2021年の政変以降、ミャンマー国内での就職よりも、大学卒業・高校卒業後に日本語学校に入学し、日本就労を目指す若者が増えています。日本では、23〜28歳の年齢では、新卒後に就職して社会経験をしている人が多いですが、ミャンマーの場合は家の仕事(農業や野菜売り)などの仕事を行なっており、「社会で働く」という経験をしていない若者もいます。

ミャンマーの会社で働いた経験はありませんが、その分語学習得に向けた学びに力を入れています。また、日本の就職先でのルールや、文化マナーなどを素直に受け入れ覚えてくれる傾向もあります。

JMTSでは、少しでも学生が社会の経験を増やしていくために、日本人ボランティアの先生との礼儀・マナー講習の受講や、日本人との食事、日本人学校や国際交流基金でのイベント参加、ボランティアでの手伝いなどを推奨し、学生に経験を積むことの大事さを伝えています。

安心して働ける職場かどうか、“信頼構築”の場

面接は企業が人材を選ぶ場ですが、候補者にとっても面接担当者と「安心して働ける職場かどうか」を感じる場です。「現場でどのような人材がふさわしいか」を共に考えさせていただき、面接時の質問を通してその人らしさや強みが見えてくる面接となるよう、JMTSも全力で支援いたします。